[BFR]

Book Guide for Rusties 2003/01

[1993年] [1994年] [1995年] [1996年] [1997年] [1998年] [1999年] [2000年] [2001年] [2002年] [2003年] [2004年] [2005年] [2006年] [Book Guide for Rusties Index]
[1月] [2月] [3月] [4月] [5月] [6月] [7月] [8月] [9月] [10月] [11月] [12月]


A: 殿堂入り 5: 読め, 4: まあ面白い, 3: お好きに, 2: つまらん, 1: 金の無駄

1月

斉藤美奈子「戦下のレシピ」岩波アクティブ新書
健康のために麦飯がよいという話について、 私の父母ともに「あんなものは二度とごめんだ。白い飯食って死にたい」 みたいなことを言っていた。 それ以外にもいろいろ聞かされたが、そんな戦下戦後の食について 細かいレシピ付で書かれた本。
雑誌などのレシピ集から当時の食の様子を再現している。
面白い。
しかしなぜ斉藤美奈子。

いわゆる横浜カレーのような洋食みたいのは関東富裕層のみの話で、 それまでの大多数の日本人の食というのが大変質素なものであった、 と言う話が、面白かった。
今イメージする昭和の家庭料理と食卓のイメージは高度成長期に 作られたものなのだ。 それは平均身長も伸びるだろうし、体質も変わるだろうなあ、と。

高野文子「黄色い本」講談社
この間と会話のすごさはなんだろう。
また意表をつくコマ割りにいつもびっくりさせられる。
これだけたくさんの漫画が出ているのに、 なぜ他の人はこういうことができないのだろうか。

高野文子だから許されるのだろうか。

永江朗「批評の事情」原書房
だいたい半分の名前を知っていてなんらかの文章は読んだことがあって、 1/4くらいが本を買ってるくらいだろうか。 面白かった。 ガイドとしてもアンチョコ本としてもいいんじゃないでしょうか。
しかし、アンチョコというのはその内容が発揮できる場があってこそ 成立するので、いまどき成り立たないのかもしれないが。

田中康夫はフェディッシュ考現学からでは。
あと、田中康夫を田舎ものと言っている赤羽のコラムニストって 小田嶋隆だと思うが、なんで名前書かないんだろう。 小田嶋隆大好きなんだが、だれも挑戦する人がいないことだけがちょっと 心配。

斉藤美奈子「妊娠小説」ちくま文庫
「舞姫」から村上春樹、辻ナントカの小説を 望まぬ妊娠を巡る物語として評価したもの。 これはおもしろい。この人文章も面白いですね。
枡野浩一「日本ゴロン」毎日新聞社
枡野浩一は面白いなあ。
一つだけ気になった点。
インターネットがあんまり好きではないというような話で、 書き慣れていない文章が多すぎる、というような話で、 松尾スズキも 「好き勝手なことを言っていやがって」 みたいなことを書いていたと思うが、

まず一つは、 活字になるような評は別にして、 一般的な読者の反応なんてそんなもんだし(ミーハーで印象が先行していて 言葉にすることに慣れていない) 私だってそうだ。
つまり私にとって、取るに足らない好き勝手な感想(評論ではない)に あふれたこちらの方が自然だと思うので、

え、今までそうじゃないと思っていたの?

という感じだ。さらに、インターネット接続人口が増えたとはいえ、 自分でその印象を文にしているような人はまだまともな方で、 実際はもっと好き勝手で支離滅裂なことを言っているほうが多いのではないかと。

しかし素人文章氾濫のおかげでプロの技も引き立つってもので。

私はおかげでたいした才能があるわけではないコラムを書く連中の ショボさが明らかになったのはとてもうれしい。 Webやぎの目より面白いコラムがいったいどれだけあることか。

もう一つ。
って二つじゃん
そんなとるに足らない一般人が同じ土俵に立つのが不快なのかもしれないが、 取るに足らない読者の側から言うと、 今まで活字の向こうにいた作り手側が、 すぐ横におりてきているのは参ったなと思います。 こちらは好き勝手感想を言っていればよかったのに、 横で作り手が聞き耳を立てることも可能なんて。

かなり好きな書き手の枡野浩一に対してそう思うのだからなあ。 (これは私がファン心理というか、お近づきになりたい、という気持ちが 欠けているせいかもしれない)

とはいえ私の場合、ここで書いていることには、 本人を前にしても言えること、という基準があります。 つまり椎名誠を前にしてもバーカバーカと言いたいから バーカバーカと書いてるわけです。 21世紀少年つまらないです。 と浦沢直樹に言えると思います。

佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく(4)」講談社
毎朝寄るコンビニで購入。
お年を召したかたがよく買っていくとコンビニの店長さん。 (予備校の横なので社会人という意味だと思う)。
剣と魔法を操る新人医師の一大ファンタジーなんですよ、 と教えてあげた。

少なくとも海猿よりは面白い。
漫画家って不思議だ。

あだち充「KATSU(6)」小学館
順番でいうと今度はヒット作になるはずだが、 いまいちパンチ不足。
ボクシング漫画ゆえに。 だじゃれですか。
山田貴敏「Dr.コトー診療所(8)」小学館
疲れていたのか、後半のエピソードで泣いた。
田島隆原作東風隆広画「カバチタレ!(12)」講談社
面白いのか面白くないのかよくわからないところが面白い。
Michael Moore「アホでマヌケなアメリカ白人」柏書房
RAGE AGAINST MACHINE のビデオや最近話題の映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」 の監督の本。ブッシュ批判が主。
タイトルと装丁は失敗だと思う。
すでに書いたが、小田嶋隆と石丸元章とテリー伊藤を足してビックマックにした感じ。 これがアメリカだとは思わないけども、 私はアメリカのことでさえ何にもわかっていないなということがよくわかった。
大月隆寛編「田口ランディその盗作=万引きの研究」鹿砦社
田口ランディに関しては、生活や性格はどうでもいいです。
このページでは初期より、 そのスカした文体が身に付いていず、 かっこつけようと思っている感じがする、 というずいぶんな印象評価をしていた、 (その後 山形浩生氏が 具体的な文体模写で喝破。 笑った)。 たまに面白い視線があるとは思うと書いていたのがしっぱい。

しかし、メディア絶賛時から違和感を持っていたことは自分をほめてあげたい。

この本では、 全盛時に評価していた出版者や編集者にも取材をしているのだが、 目黒孝司(北上次郎)が弱っちゃったな、というのを正直に語っているのが 感心した。

ちなみに、同じく絶賛していたちくま書房の松田哲夫と、この編者の大月隆寛は、 今、本の雑誌で並んで連載を持っている。

っていうか同じく絶賛していたヤスケン追悼。
高校生の頃、角川文庫のガイド本のころから呼んでいた。
わからん人だった。

斉藤美奈子「読者は踊る」文春文庫
こんな面白い人だったとは。
小田嶋隆みたい。ちょっと違うか。
W.Terrence Gordon「マクルーハン」ちくま学芸文庫
マクルーハン紹介本。
いまさらマクルーハンですか。はいすみません。
面倒な文章を読まずに、一通りキーワードを知るには良い本。
別にマクルーハンその人はえらいと思うのですが、 一時はみんなこぞって受け売りしていた。 最近はあまり聞かないです。
西原理恵子「西原理恵子のぼったくり」鳥頭の城
自費出版本。最初のだけ面白い。でもカレンダーと文房具目当てだったので平気
秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所(133)」集英社
どうしよう。
両さんがまったく面白くなくなってしまった。
私が悪いんだろうか。

No.
Book Guide for Rusties suchi Home Page